パーティーの主役は貴方、
Q,橙色に黒い丸。
これを見て貴方はなにを思い浮かべますか?
A,…………………。
「何なんさ、これは…」
夏もピークを迎えるそんな日に、ラビは一人自室にて頭を抱えていた。
事の発信源はラビの部屋に置かれていた一枚の紙切れ。昨日寝る前に見渡した時にはなかったことからして、寝ている間に誰かが置いていったのだろう。(もしくは紙から手足が生えて勝手に入って来たとかだ)(そんなことあるものか)
しかもその紙には真ん中に黒い丸が描かれ、その上部が橙色で塗り潰されている。黒い丸の中には更に小さな黒い丸が二つ描かれていて、此方から見て左の丸は右の丸より少し大き目なのがわかる。
そんなこんなで紙と睨めっこを続けていたのだが、いつまでも頭を抱えていても仕方がない。ので、その元凶を軽く指先で摘み呟いた。
「…取り合えず、誰が置いてったんかを突き止める方が楽そうさ……」
そう、その絵はこの広い教団内からまだ誰かもわからない絵の描き手を探すことよりも理解するのが難しい。そう思わせる程の独自性を兼ね備えた物体なのだ。(こう書くと何だか聞こえはいいが、言ってる内容は結構失礼だったりする)
「人が居るとこって思って来たのはいいけど…意外と少ねーなぁ」
ま、昼飯にしては結構遅いしな。そう納得しつつ頷く彼が今居る場所は彼らの生活していく上で欠かせないであろう食堂の入り口。今現在彼を合わせて食堂に居る人数が10人に満たないことからして、今の時間が昼飯時から大きく逸れた時間だということがわかる。
そんなことを考えつつ室内へと入っていくと、見慣れたポニーテールが蕎麦を啜っているのが見えた。その親友(だとラビは思っている)の後ろ姿に、思わず悪戯心が沸き立ちニヤリと目を光らし近付こうとすればこれまた今度は聞き慣れた声に呼び止められる。
「ラビ!何処に行ってたのよ、探したんだからね?」
「リナリー?…って、え、なんかオレ、もしかして呼び出されてたりした?」
大量の紙の山(おそらく科学班の資料なのだろう)を手に抱えつつ近付いてくるツインテールの少女を目にすれば、他に用件等思い浮かばなくて思わず首を傾げてしまう。そんな自分を見て苦笑を浮かべられても、まったくもってわからないのだから仕方がないではないか。
「やっぱり…まあ、忘れてるとは思ってたんだけどね」
そういって何かを差し出されたので、拒む理由もなく素直に受け取ってみる。(これがコムイが相手の場合は考えモノだが)
すると、手の中に確認出来たのは2ヶ月程前にも親友(略)が受け取っていたような気がする可愛らしくラッピングされた小さな包みであった。その彼女からの贈り物と言葉で、漸く今日が何の日かを思い出すことが出来た。
「今日は、ラビの誕生日でしょ?」
「ああ、そういやもうそんな時期だったさ…」
最近任務続きだったのもあるが、自分の事よりまず他の事でいっぱいいっぱいだったのですっかり忘れてしまっていたことに、じじいに知られたら何か言われそうだなぁ。なんて思ってみる。
それから暫くリナリーと他愛もない会話を交わしていたが、ふと此処に来た理由を思い出し尋ねてみようと先程の紙切れを出そうとした。が、
「そういえばアレン君。ラビの誕生日に絵を描くんだって言ってたわよ?」
そんなことを言われ、出そうと動いていた手がストップしてしまった。
「絵って…アレンがそう言ってたん?」
そう、よく考えてみれば、だ。自分の部屋に入って来るような奴であんな奇天烈且つ独創的(?)な絵を描くのは一人しか居ないではないか。(ってか居て堪るか)
そうかそうか、ならあれが一体何なのかわからないでも…やっぱ嬉しい気がする。可愛い恋人から手作り(?)のプレゼントを貰って嬉しくない男なんて居ない、と今なら胸を張って言える気がする。
「ってラビ、いきなり笑い出して…何か面白かったかしら?」
目の前に居るリナリーには不思議そうな目で見られてしまったが、この喜びは一人占めしておきたいので絵を見せるのも止めておこう。
「何でもないさー」
さて、これからどうしよう。あのコのことだから、今頃オレの反応を心待ちにしているに違いない。
それなら、もう答えは出ているではないか!そう思い、未だに不思議そうに見つめてくるリナリーと別れ足取り軽くすぐ近くにある目的地へと足を進めた。
さあ、楽しいパーティーを始めよう!
○時期を全然外してるとか気にしないで下さいまし(オイ
今年の夏、ラビの誕生日に書いたはいいがそのままお蔵入りしていたラビアレもどき。
アレン君が話の上でしか出てきませんがラビアレのつもりなんです許してください。
でもってアレン君が描いた謎の物体は今度アップする後日談にて解明されます(気付いてる方ばかりでしょうが;)
(c)尤伐